北海道の獅子舞について

  獅子舞の形態は、大きく分けると次の2種類になります。

   @「風流系」…一人が獅子頭(または動物の頭)をかぶりながら、一人で舞うタイプ。
     例:伊豆の踊子、角兵衛獅子

   A「伎楽系」…唐獅子の頭をかぶり、二人以上が獅子の中に入る。

  道内では、風流系のものが檜山地方を中心に、伎楽系がそれ以外の地方に伝承されています。

 

  道内で行われている獅子舞の総数151件。内訳は、

   @神楽の一部として舞われているもの(松前神楽など)=33件(21.9%)

   A伎楽系のもの=101件(66.8%)

   B風流系のもの=17件(11.3%)

  となっています。

  主な伝承元は、「富山県」と「香川県」で、富山県が57件香川県が13件伝わっています。
  他の地域では、風流系の鹿子舞などが青森県から、伎楽系では、岐阜県や愛知県、鳥取県などから伝わっています。渡島・檜山地方は本州に近いため、早い時期から地域同志の交流があったと思われます。

 

 

 

  富山県から伝えられた獅子舞(伎楽系)は、大きく分けると下の表のようになります。

           

二人獅子

@下新川型 胴幕の中にはいるのは1人のこともある。獅子頭が比較的大きいのが特徴。
A金蔵型 キンゾウと呼ばれる踊り子が、獅子の上(後ろ)に乗る演目がある。 獅子は2頭立て。

百足獅子

B砺波型 胴幕の中に5〜6人、または10数人入る。竹の輪を使って胴幕を大きく見せるところに特徴がある。
C氷見型 胴幕の中には5〜6人が入る。砺波と違い、竹の輪を使わずに手で持ち上げる。 踊り手に天狗が付く。
D射水型 胴幕の中は5〜6人。氷見型と同じく、竹の輪を使わずに手で持ち上げる。踊り手が花笠をかぶる。

 

  道内に多く見られるのは、「砺波型」と「氷見型」で、射水型や金蔵型、下新川型は少ないようです。これは富
山県からの入植者に影響されていると考えられます。

  富山県の獅子舞は、富山市内にある呉羽山を中心に、東側(=呉東)は二人獅子西側(=呉西)は百足獅子が分布しています。北海道への入植者は、呉西の砺波郡から多く来ていることと関係があるように思えます。また、砺波型の中でも、胴幕の中が1列の「砺波(標準)型」、胴幕の中が2列の「五箇山型」と、同じく2列で頭がほとんど動かず獅子の首が長い「加賀型」に分けることができます。

  「砺波型」獅子舞の演目は、『刀』『薙刀(長刀)』「鎌』など、武器を使って獅子を退治する舞が見られ、「氷見型」の演目では、『祇園囃子』『一足』『二足』『京振り(強振り)』など、獅子とともに踊る舞が見られます。

  また、「砺波型」は太鼓を太い棒に縛り、棒の前後を担いで持ち歩き、「氷見型」は太鼓を台車に乗せ、装飾を施すのも大きな違いです。

  また、どの獅子舞も「獅子取り」と呼ばれる踊り子が付きます。「砺波型」では『シャグマ』(白い鬘のようなもの)を、「射水型」では花笠をかぶるのが特徴です。「氷見型」では天狗が先導に立ちます。

  富山県から伝わった獅子舞の型は、下の表の通りです。

 

獅子舞の型 獅子舞の数 獅子舞の名称(地区名)
@下新川型 妹背牛町獅子舞(空知) 雨竜町獅子舞(空知)
旭川獅子舞(上川) 豊田獅子舞(上川)
山部越中獅子舞(上川) 有明獅子舞(留萌)
珸瑶瑁獅子神楽(根室)  
A金蔵型 上砂川獅子神楽(空知) 瑞穂獅子舞(上川)
B砺波型 22 篠路烈々布獅子舞(石狩) 丘珠獅子舞(石狩)
泉郷獅子舞(石狩) 望来獅子舞(石狩)
砺波獅子舞(空知) 峰延獅子舞(空知)
芦別獅子舞(空知) 塊鉱黒獅子(空知)
多度志獅子舞(空知) 栗山親子獅子舞(空知)
新十津川町獅子神楽(空知) 滝の上獅子舞(空知)
沼田越中獅子舞(空知 本願寺越中獅子舞(空知)
風連獅子舞(上川) 富良野獅子舞(上川)
北野神社獅子舞(上川) 鷹栖町獅子舞(上川)
幾寅獅子舞(上川) 平越中獅子舞(留萌)
糠内獅子舞(十勝) 弟子屈町仁多獅子舞(釧路)
C氷見型 11 大願獅子舞(空知) 金子獅子舞(空知)
元町子供獅子舞(空知) 北元町青年会獅子舞(空知)
新生元町子供獅子舞(空知) 住吉獅子舞(空知)
長沼勇獅子舞(空知) 美瑛親子獅子舞(上川)
南浜獅子神楽(宗谷) 東士狩獅子舞(十勝)
浦幌開拓獅子舞(十勝)  
D射水型 弟子屈鐺別獅子舞(釧路)
E不明なもの

※ご存じの方が
いらっしゃいましたら、
お教えください。

14 濁川越中獅子舞(渡島) 由仁越中獅子舞(空知)
真竜獅子舞(空知) 幌加内獅子舞(空知)
永山獅子舞(上川) 神楽獅子舞(上川)
瑞穂青年こども獅子舞(上川) 樽真布祭典奉納獅子舞(留萌)
幌糠郷土獅子舞(留萌) 中央越中獅子神楽(留萌)
手塩越中獅子舞(留萌) 鵡川獅子舞(胆振)
矢部獅子舞(十勝) 速星獅子舞(十勝)

  もちろん、中には2つ以上の型が融合したものも見られます。ここでは、獅子の胴幕の形を判断の材料とし、加え
て演目なども参考にしながら、上の5つの形に分類しています。不明なものは、資料が少なく、判断しかねるものを含
んでいます。

  富山県から伝わった獅子舞は、ほとんどが空知地方で舞われています。

 

  香川県から伝わった獅子舞(伎楽系)は、胴幕の中に2人入り、雄獅子と雌獅子の2頭立
てで舞われることが多いようです。富山県の獅子舞とは違い獅子取りが付かず、代わりに猩々や天狗などが先導
をつとめます。太鼓を面と裏で打つものも見られます。

  香川県から伝わった獅子舞は、胆振地方(特に、洞爺湖周辺)を中心として舞われています。中には、空知の深川市に『猩々獅子五段くずし舞』として伝わったものが、形を若干変えて同じく空知の栗山町へ『角田獅子舞』として伝わっているものもあります。

伝承先 獅子舞の名称

後志 (2)

讃岐瑞穂神楽(蘭越町) 蘭越獅子神楽(蘭越町)

空知 (5)

納内町猩々獅子舞(深川市) 猩々獅子舞五段くずし舞(深川市)
角田獅子舞(栗山町) 大鳳獅子舞(妹背牛町)
ちくし神楽獅子舞(秩父別町)  

胆振 (6)

御供獅子舞(室蘭市) 札内神楽獅子舞(登別市)
香川獅子舞(洞爺湖町) 月浦獅子舞(洞爺湖町)
曙獅子舞(洞爺湖町) 仲洞爺獅子舞(壮瞥町)

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