利賀村の獅子舞


  福光町の獅子舞が終わった後5月3日からは、3日間かけて利賀村の春祭りが行われる。3日は北豆谷地区、4日は坂上阿別当上畠岩渕利賀上村、利賀下村、大豆谷の各地区、5日は百瀬上百瀬地区の合計10箇所で獅子舞が舞われる。それぞれの地域に奉納する神社があり、奉納が終わると集落を巡回する。
 

   利賀の中心地を境に、北部の北豆谷・大豆谷、利賀中心部の利賀上村・利賀下村・岩渕、南部の上畠・坂上・阿別当、そして山を越えた東部の百瀬、さらに百瀬の南部の上百瀬と、それぞれ舞いの種類が異なっている。北豆谷・大豆谷、百瀬及び上百瀬は胴幕に2人入る二頭立て、他の地区は一頭立て2列の百足獅子である。
 

 どの地区も、神社への奉納が終わると、各集落を一軒一軒順に回ってゆく。
 

 演目の特徴は、氷見獅子の影響を受けているためか、軽やかな調子の曲が多い。福光の5つの獅子舞は獅子があまり動かず、曲も単一で、獅子取りがゆったりと舞っていた。対して、利賀全体では演目ごとに曲が異なり、獅子取りも房付きの棒(獅子取り棒?)を手にする舞もあれば、長刀や刀を手にする舞もある。テンポも速く一つの演目も比較的短い。福光の『睨み獅子』に対して、利賀の『舞獅子』といった感がした。

 

☆2009年に再度訪問したとき、大豆谷の奉納は2008年度より行っていないとの話しを聞いた。

 

北豆谷
 北豆谷は、利賀の中心地より北に位置する。西側の利賀川と東側の高峰山に挟まれたやや小さな地区である。集落は、山の斜面と、砺波市に通じる国道471号線よりやや下がった所にある。
 

 北豆谷地区は、2人獅子の二頭立てで舞われる。14時より国道に面した神明社に村や地区の役員が集まり、神事を行う。その後で獅子方が回ってきて、舞を披露する。
 

 北豆谷地区の獅子舞は、2人が胴幕に入り2頭立ての夫婦獅子である。
 

 演目の中で、北豆谷独自のものと紹介されたのが、「三番叟(さんばそう)」と「姉ま獅子」である。「三番叟」は、三番叟を中心として獅子取りがその両脇を固め、獅子を舞わさずに三人が踊るものである。「姉ま獅子」は、獅子取りの代わりに着物姿の女の子が、手に花と扇を持ち舞うものである。

  下の演目は、左上から順に舞われた。演目の名前が解らないので、ご存じの方はご連絡下さい。
 

 北豆谷の獅子舞 【金蔵型】
@(演目1) A紙垂 B(演目3)
C(演目4) D三番叟 Eあねま獅子
F(演目7)    

 

 

坂上
  坂上地区は、利賀中心地より南方に位置し、そばの里があり人が集まる場所である。集落は山の斜面にある。八幡宮は県道34号線より山の中へ少し入った場所にある。
 

 4日の11時より神事を行い、その後獅子舞が奉納される。獅子は大獅子で、胴幕の中には10人入る。

 演目の名称は不明であるが、新十津川町獅子神楽との接点があると思われるものが見られた。『純粋』の「長刀」、『新派』の「ギオンバヤシ」の演目とほぼ同じ曲調や舞があり、このことからも利賀から伝えられた特徴の一つと捉えることができるであろう。

  正式な演目の名称をご存じの方は、是非お教え下さい。

 

  坂上の獅子舞
 (坂上八幡宮にて)
 坂上の獅子舞 【砺波(五箇山)型】
@舞い込み  A祇園囃子 B京振り 
Cよつざき  D扇 E鎌 
F七五三 G薙刀 Hととよ ろ

 

 

阿別当
  阿別当地区は、利賀川沿いの窪地にある神明社で舞いが行われた。阿別当は、利賀村の南に位置し、神明社は県道34号線から少し下がった場所に位置する。集落は県道沿いや利賀川の周辺にある。14時過ぎから演目が始まった。
 

  獅子は大獅子で、胴幕の中には10人が入る。囃子には、笛と太鼓の他に鉦が入っている。この地区で鉦を使うのは、阿別当のみであった。

  正式な演目名をご存じの方は、お教え下さい。
 

阿別当の獅子舞
「獅子頭」
 阿別当の獅子舞 【砺波(五箇山)型】
@舞い込み A祇園囃子  Bよつざき
C刀  D七五三 E京振り
F扇 G(演目8) H花笠?
Iよつざき  

 

上畠
 上畠地区は、坂上地区よりさらに山側に位置する。ここの集落も山の斜面にある。この地区はチベットとの交流があり、「瞑想の里」と言われる文化交流施設がある。上畠神明社で奉納時間が変更になったのか、開始時刻には間に合わなかった。そのため、映像は最初の方が欠けている。

  胴幕の中には、10人程が入る。他の地区と異なり、薙刀、鎌など武器を持ち獅子と対峙する舞が見られた。二人や三人で組む形も見られ、加賀獅子の影響があるものと考えることもできる。囃子の調子も、福光町の加賀獅子に似ている。

 上畠の獅子舞 【砺波(五箇山)型】
@三人舞(刀・鎌)  A薙刀の舞 B鎌の舞
C京振り D三人舞(棒・薙刀) E四人舞 
  上畠の獅子舞
 (上畠神明社にて)
上畠追加映像

  2007年の調査では全ての映像が撮影できなかったため、2009年に改めて撮影を行った。前回と重なる部分もあるが、全ての演目を新たに掲載することにした。

  2009年度より、獅子頭を新調したようである。南砺市長が上畠地区より選出され、全体に盛り上がっていた様子が見られた。
 

 上畠の獅子舞 【砺波(五箇山)型】
@宮入 A(演目1) B鎌
C刀 D棒 E(演目5)
F三人舞[刀・鎌] G薙刀 H鎌
I二人舞[棒] J京振り K刀
L三人舞[薙刀・棒] M四人舞[刀・鎌・棒]  

 

岩渕
 
 岩渕地区は、上畠と利賀のほぼ中間で、山側に位置する。県道34号線から山側に入り、杉の林に囲まれた蛭子社で舞いが行われた。ここの集落も山の斜面にある。
 

  岩渕地区も大獅子で、胴幕の中には 8人が入る。15時半頃から演目が行われた。

 

 岩渕の獅子舞 【砺波(五箇山)型】
@祇園囃子 A京振り B七五三
Cよつざき    

 

 

利賀(上村)
 
  時間の関係で、利賀神明社での奉納は見ることができなかった。その代わり、集落を巡回する場面を見ることができた。利賀の集落は、小中学校や行政センターなど、村の中心地となっている。国道471号線及び県道34号線の交わるところで、トンネルを通じて百瀬の集落ともつながる。
 

  利賀上村地区の獅子舞は大獅子で、胴幕の中には10人入る。舞いの特徴は、扇を使い多人数の獅子取りで舞う演目があることである。全体として獅子取りの数が多いようであった。
 

 利賀(上村)の獅子舞 【砺波(五箇山)型】
@刀 A薙刀 B扇
C薙刀隠し    

 

 

百瀬
  5日の午前に、県道229号線沿いの加茂社で奉納が行われた。百瀬の集落は、富山市や八尾市に向かう国道471号
線及び県道229号線に沿う、場所に位置している。集落の東側には百瀬川が流れている。10時半頃より演目が行われた。
 

  金蔵型で、三番叟が先導する。また、三番叟単独の舞もあり、独特の雰囲気がある。
 

  舞は北豆谷に似ているが、最後に金蔵獅子の演目がある。獅子とのやり取りの後、二人の獅子取りが煙草をふかし(ているまねをするのだが)、歓談する場面が印象に残った。
 

  百瀬の獅子舞
 (熊野神社にて)
 百瀬の獅子舞 【金蔵型】
@「宮入」?  A三番叟 B(演目3)
Cおおばこ D(演目5)  E蛇獅子 
F(演目7)  G金蔵  Hささら

 

 

上百瀬
  利賀春祭り最後の獅子舞は、上百瀬の神明社で行われた。上百瀬は百瀬より南方(百瀬川の上流)に位置し、スキー場や温泉などを抱える集落である。集落よりやや山側に神明社がある。11時半より演目が始まった。県道229号線から神明社に至る道が細くて長く、その道中の様子は迫力があった。

  演目は上百瀬とほぼ同様である。しかし、三番叟の演技は見られなかった。また、一つ一つの演目が、やや短めである。

 上百瀬の獅子舞 【金蔵型】
@宮入?  A(演目2) B(演目3)
C(演目4) D(演目5) E(演目6)
F(演目7)  G(演目8) H(演目9)
I金蔵 J(演目11) K蛇獅子  

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